不動産がある場合2 賃料収入に対する遺留分

【事例】

父親が死亡し、相続人として子供2人(太郎さんと次郎さん)がいます。

父親の遺産は、自宅の土地と建物、預貯金があり、父親は「財産のすべてを太郎に相続させる」との遺言書を残していました。

建物については家賃収入があります。

このような場合、次郎さんは家賃収入について、太郎さんに支払うよう請求をすることが出来るでしょうか。

 

【回答】

1 遺留分減殺請求権の行使

次郎さんは、遺留分として1/2×1/2=1/4が認められています(詳しくは、2-3遺留分の計算方法をご確認ください)。

それにもかかわらず、太郎さんが父親の遺産をすべて相続するため、次郎さんは、太郎さんに対し、父親の財産の各4分の1を限度として、遺留分減殺請求権を行使することができます(具体的な請求方法については、2-4の請求の方法をご確認ください。)。

 

2 家賃収入の請求

民法1036条では、遺贈等を受けた人は、遺留分返還請求を受けたときは、目的物の返還をしなければならないだけでなく、遺留分減殺の意思表示があった日以後の果実をも遺留分減殺請求者に返還しなければならないとされています。

ここでいう「果実」に家賃も含まれます。

したがって、次郎さんは、遺留分減殺の意思表示があった日以後、建物から生じる家賃の1/4を、太郎さんに対して請求することができます。

なお、太郎さんが賃料の支払いを拒む場合には、次郎さんは、不当利得返還請求訴訟を提起することになります。

 

3 太郎さんが価額弁償をした場合

遺贈等を受けた人が価額弁償を選択し、金銭を提供した場合、遺留分請求者は家賃を請求することはできません。

なお、減殺の意思表示時から価額弁償権行使時までの間の賃料を請求できるかについては争いがあります。

 

 

では、次は、遺産に不動産がある場合で、価額弁償権が行使されない場合を見ていきましょう。